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復活の日のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

復活の日(1980年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

東ドイツの研究所から猛毒ウイルスが盗まれた。ところが盗み出したスパイの乗った飛行機はアルプス山中で事故に遭い、ウイルスが蔓延した地球は、南極に僅かな人類を残して滅亡する。その生存者の一人、地震研究者吉住は、さらに大きな危険に気づく。アメリカ東部に大地震が起き、核ミサイルの発射を誘発する可能性だった…。

邦画史上最大スケールのディザスター・ムービー。
制作されたのは1980年だが、ウイルスの驚異を扱っている部分は先見の明がある。
人類は自分たちが作り出したウイルスと核兵器で2度滅ぶ。

世界の終わりとは人間の愚かな行為、つまり人災の果てに訪れるのかもしれないと考えさせる。

特に荒廃した東京の情景や病院での医療崩壊は、想像しただけでも恐ろしく、制作された当時は絵空事だったが、コロナウィルスが実際に蔓延している現在から見ると本作の先見性は凄い。

ウイルスが寒さで活動を停止する南極。
(現実ではコロナウイルスは南極まで到達したが)
そこで生き残った人の割合は、男の数が圧倒的に多く、女が少ないということから、子供を産むことが義務づけられる。
子孫繁栄のために彼らが決めた選択は将来起こりうる最悪のシナリオと捉えることもできる。

また、ウイルスを敵国の攻撃と捉え、疑心暗鬼の末に核攻撃を考える愚かな人間たちを鋭く描いている。
被爆国である日本が作った映画の中で描かれていう核兵器における考え方の違いや温度差をハリウッド映画と違いを感じる。

一部の人間による愚かな行為がどれだけ周りに影響を与えるか、その最悪の状態を描いたのがこの作品だ。
終盤、アメリカから南極まで何年もかけて徒歩で移動する主人公の吉住。
死体に話しかける描写は孤独の極みだ。

国際色豊かな豪華俳優陣の起用、南極やマチュピチュ遺跡でも撮影し、角川映画が総力を賭けた超大作とあって、スケール感は半端ない。
潜水艦も昭和基地の無線も当然本物というのだから、今の日本の映画には到底マネが出来ない。
今見ると、特撮もショボく、ウイルス対策の無さなどツッコみどころも多いのは仕方ない。
しかし、世界に通用する作品を作ろうとした映画人の心意気を感じる映画だ。
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