ヒデ

シービスケットのヒデのレビュー・感想・評価

シービスケット(2003年製作の映画)
4.2
「見放された馬を僕らが強くした?それは違う。馬が僕らに力をくれた。そして、お互いが癒されたのだ」

1930年代のアメリカを舞台に、葛藤を抱えた3人の男が落ちこぼれの競争馬と再起を図る物語。

傑作。実話が元になっている映画なんだけど、本当にこんな出来事あったの?というレベルのストーリーでめちゃくちゃ感動した。

愛する息子を失った大富豪ハワード、親に捨てられた騎手レッド、時代に取り残された調教師トム、そして「駄馬」の烙印を押されたシービスケット。

ハワードが馬主としてシービスケットの購入を決めたことを機に3人は繋がり、それぞれに葛藤を抱えた者同士が手を取り合って競馬界をのし上がっていく。

体高150cmしかない小型の馬が180cm超えの名馬を次々と打ち破っていく様はまさにジャイアントキリングであり、気持ちよさが素晴らしかった。競馬シーンもどうやって撮ったんだってくらい迫力がある。

でもこの作品の一番凄いところはそこではなく、「一度失敗しても何度でも立ち上がれる」というテーマがあることが素晴らしい。メインキャラ(馬含む)が全員かなり重い過去を抱えており、ストーリーの中でも相当なダメージを負うが、そんな彼らが「もう一度やってやる!」というナニクソ根性で立ち上がり続ける様に感動する。「誰にだって負ける時はある。その時引き下がるか、闘うか」というセリフがそのテーマを象徴していたように思う。

2時間半とちょっと長めだけど、凹んだ時にまた観返したくなるような名作だった。


以下、セリフメモ。


「馬なんか5ドルでも買う気はありませんね」

「ここ西部では手は大空にも届くのだ」

「ブロジェットさんと一緒に行くんだ」
「イヤだ。イヤだよ。うちに帰ろう、父さん…」

「どうやって返済を?」
「勝つんだよ!」

「皆一杯飲みたかったのに、禁酒条例のため、アメリカでは酒が飲めなかった。人間は気晴らしのない暮らしに辛抱できない。国境に歓楽街が生まれ、国境の北にないものを南の隣国が提供した」

「ここでは悪運も幸運に変わる」

「どんな馬だって役に立つ。ちょっとケガして、それで命あるものを殺すことはない」

「馬はスピードじゃない。ハートだよ。競争を恐れない馬でなきゃ」

「彼がシービスケットを見たのは、朝の5時で霧の中だった。"馬はこういう目をした"と彼は言う。"なんで俺をジロジロ見てんだ?失敬なやつだ"」

「3歳馬の時は週に二度も投げ売りの売却競馬に出走。不満と怒りが溜まり、父馬そっくりの荒馬になった。叩かれてつけられた売値は2000ドル」

「もう一度"馬"に戻さにゃ」

「安い馬よ」
「それが救いだ」

「利口な馬は孤独を嫌って、他の動物が側にいると落ち着くんです」

「妨害しやがった!!汚いよ!!」

「自分がチビだと知らないやつはデカいことをする」

「あいつ…嘘をつくジョッキーだった。目が悪く、右側が見えないんです」

「構わん。"ちょっとのケガで、命あるものを殺すことはない"だ」

「私は100頭のウォーアドミラルより1頭のシービスケットを取る」

「"リドル氏よ、この国は望んでる。マッチレースを!"」

「足がひどい状態です。11〜12カ所骨折してます。歩けるようにはなりますが、乗馬は無理です」

「ウルフを呼んでくれ。彼なら大丈夫だ」

「ジョージ…抑えろ…抑えろ…。解き放て!!」

「靭帯が…切れています」

「もう走れません。安楽死を望まれるならそのようにします」

「レースは無理だ。今度折れたら二度と歩けんだろう」

「足が潰れる?その前に"心"が潰れます」
ヒデ

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