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シービスケットのTSのレビュー・感想・評価

シービスケット(2003年製作の映画)
3.6
【小型のサラブレッドにかけた希望】
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監督:ゲイリー・ロス
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:141分
興行収入:約1億4800万$
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僕は賭博行為はやらないのですが、競馬を完全なる賭博と思って日々やられている方に是非見て欲しいなと思う作品でありました。競馬は馬とジョッキーがいて初めて成立します。そこには深いドラマが必ずあります。実話をもとに製作された今作は、恐慌時代のアメリカ社会を映し出した味わい深い作品でありました。

時は大恐慌時代。不穏な空気が流れていたアメリカの中で、一匹の馬が活躍する。その馬の名はシービスケット。脚を折り、使えないから処分されそうなところを買い取られる。シービスケットと三人の男のサクセスストーリーである。

実話であり、終盤のレースに関しては細かな箇所まで再現されている様です。映像も綺麗で、競馬場を走る馬の足音の臨場感も伝わります。撮影にはかなりのテクニックがいるのではと感じました。なんせ、CGではなく本物の馬を使って撮影しているはずなので難易度は跳ね上がるでしょう。また、アングルに関しても休日に放映されている競馬の映像では決して見られないものもあり、迫力はかなりあるかと思われます。

競馬に関してはしたことがないのでルールをほとんど知りませんが、そのあたりは知らなくても大丈夫かと思います。明日の生活でさえも闇に包まれた当時のアメリカ社会において、シービスケットはまさしく希望の光だったのです。考えてみると、サラブレッドとは言え、足が折れてからリハビリトレーニングをするのは至難の技。それを、調教師のハワードやスミスらがやり遂げます。

これは、大恐慌時代で心を折られた人々も、頑張れば昔のような生活に戻れるということを示唆したような物語とも言えます。現代の我々からみてもそのような類似点はわかりますので、当時の人はさらに一層その事を理解をしていたのではないかと思われます。汚い言葉でいうと、競馬というのは「金儲け」に他ならないのですが、本質はそんなものでなく、もっとも奥深いものであるはずなのです。

世界観も良く、20世紀前半のアメリカをしっかりと彷彿できるような仕上がりになっています。収録時間はやや長いですが、競馬や馬を好きな方は是非。むしろ、競馬を好きな方がこれを鑑賞したらどう思われるのか聞いてみたいところです。
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