うにたべたい

血を吸う薔薇のうにたべたいのレビュー・感想・評価

血を吸う薔薇(1974年製作の映画)
4.1
「血を吸うシリーズ」3作目にして最終作。
東宝の内部的な事情により1度はポシャった企画でしたが、2作目から3年目にして製作が再始動したという経緯があります。
製作は1,2作目と同じく田中文雄氏、前作同様、和製・吸血鬼ドラキュラといえる作品で、ある山奥の女学園を舞台に、現代に蘇った吸血鬼が人を襲う展開となっています。

東京から長野県奥地の女子短大に、心理学講師として赴任してきた「白木」。
学園の学長の自宅を訪れる彼は、道中学長の妻が交通事故で他界したことを知る。
その晩は寮に行かず、学長の家に泊まることにした白木は、その夜、2人の牙が生えた女性に襲いかかられる夢を見る。
その片方は学長の妻、もう片方は行方不明になった生徒だったことを後に知ります。
女子生徒3人と仲良くなるのですが、うち1人が意識朦朧となってしまう。
その生徒の胸に2つの刺傷があるのが気になった白木は、校医の下村に200年前に起きた、ある異人の話を聞く。
学長は何を企んでいるのか、学長夫人は本当に死んでいるのか。

恐怖映画然としていた前2作に比較すると、本作は恐怖度は低く、どちらかというとアクション映画のように感じました。
主演の黒沢年男さんが吸血鬼の謎を解くべくグイグイ行くので、恐怖ものというよりもストーリー映画としておもしろかったです。
校医役は若い頃の田中邦衛です。
この種の映画に出るイメージがなかったのですが、ハマり役だったように思いました。
なお、吸血鬼役は「血を吸う眼」から引き続き岸田森氏で、氏の怪演も見事でした。

ただ、個人的には、恐怖度が低く、ドキドキの意味が過去作と違っていたため、少し肩透かしでした。
これはこれでおもしろかったですけどね。
ラスト近くでは黒沢年男が吸血鬼相手取って取っ組み合いするシーンがあり、人の力でどうにかできるレベルということで神秘性や絶望感が足りない感じがしましたが、ラストは少し哀愁が残る感じでとても良かったです。

3作通しで見ましたが、3作とも想定外にとてもおもしろかったです。
全作ともあわせておすすめします。