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死の接吻のHKのレビュー・感想・評価

死の接吻(1947年製作の映画)
3.5
リチャード・ウィドマーク(当時33歳)のインパクト絶大のデビュー作です。
いつもニヤニヤヘラヘラ何をしでかすかわからない冷酷さと人懐っこい無邪気さが同居した殺し屋トミー・ユードー役(ウィドマーク)は完全に主役のビクター・マチュアを食ってしまっており、映画を観終わってもウィドマークの記憶しか残りません・・・あの顔ですし。

妻子ある前科者の主人公(マチュア)は仲間との宝石強盗に失敗して一人だけ逮捕されます。
減刑と引き換えに仲間を密告するよう強要された主人公は初め拒んでいたものの・・・
裏切りを知ったウィドマークが恐ろしい・・・あの顔ですし。
実話の原作を元に脚色されたフィルム・ノワールです。。
監督は『ナイアガラ』『ネバダ・スミス』『勇気ある追跡』などのヘンリー・ハサウェイ。

主役のマチュアは『サムソンとデリラ』『聖衣』といった史劇や『荒野の決斗』のドク・ホリデイあたりしか知らないんですが、いまひとつ魅力がないというか精彩に欠ける印象。
今回マチュアのトロンとした目がシルベスター・スタローンに似ていると気づきました。
刑事の中にまだ若きカール・マルデンを発見(まだトレードマークのダンゴ鼻も小さめ?)。

ウィドマークはデビュー早々本作でゴールデングローブ新人賞を受賞、アカデミー助演男優賞にもノミネートされてもう悪役街道まっしぐら・・・やっぱりあの顔ですし。
デビュー作で悪役だからもっと出番は少ないかと思ったらほぼ出ずっぱり。なんか若い時の方が危険値の高い顔をしてます。

でも悪役だけで終わらないのがウィドマークのスゴイところ。
この後は個性派俳優として主役や準主役もこなす渋い大物になったのはさすがです。
本作はこのウィドマークの鮮烈なデビューが見れるだけでも価値ありです。
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