タカシサトウ

ボクサーのタカシサトウのレビュー・感想・評価

ボクサー(1977年製作の映画)
3.5
 なかなか激しかった。しかし、あまりにもやるせない、そしてアクの強過ぎる感覚にあんまりついて行けなかった。

 それでも、コーチ隼謙次の菅原文太は存在感があるし、天馬哲生の清水健太郎があまりに若くて、ボクシングのトレーニングにのめり込んでいくのは凄かった。

 この映画は、シルベスター・スタローンの「ロッキー」に触発されて、作ったということだけれども、まあ、なんとか最後まで仕上げたな、と。菅原文太の指名とのことで、ボクシングに詳しいとはいえ、よくアングラの寺山修司を監督にしたなと驚いた。

 隼謙次(菅原文太)と天馬哲生(清水健太郎)のやり取りが中心ではあるんだろうけれど、皆が集まる涙橋食堂での常連の人達の、寺山の劇団の天井桟敷の俳優達によるやり取りが、昔に少し観ただけの寺山修司主催の天井桟敷の演劇の雰囲気だろうな、と思った。それは本当に独特なものがある。

 それから、おまけなんだろうけれど、特別出演の具志堅用高のパンチはゾッとする程で、別格だった(2022.2.6)。