このレビューはネタバレを含みます
◆“ジェリー(ジャッキー・チェン)”は恋人の“ナンシー(クリスチーヌ・デベル)”と気ままな日々を過ごしていた。ある日、マフィアの“ドミニチ(ホセ・フェラー)”はジェリーの技量を知ると、ライバルのマフィアに一泡吹かせるべく、ジェリーをバトルクリークで開かれる格闘大会に参加させようすとする。
ハリウッド進出失敗作となんかで見てから、ちょっと観るのを躊躇していたけれど思っていた以上には面白かった。荒唐無稽なストーリー展開だけれど、頭からケツまでの題材は一貫しているから観易い。
同年公開の『ヤング・マスター』と比べるとやっぱり見劣りしちゃうけれど、アメリカ資本らしい雰囲気もありつつ、ジャッキーらしいコミカルでダイナミックなアクションもありつつ、だけど全体的に塩っぱめな感じ。80年代のアクションはまだ四分音符的なものが多いのでどれも似てるといえば似てるけれど。
カンフー・アクションからカンフー基盤のアクションへの過渡期的な? カンフー使いvsアメリカ人という構図がジャッキーのらしさを殺しているといえばそう。80年代の格闘技といえばプロレス全盛期も全盛期で、所謂、総合格闘が注目される前な所為で、出てくる敵は体のデカい(縦にも横にも)なガッチリ体型ばかり。パワーは腕力だと言わんばかりの壊し屋たちがジャッキーの相手を務めるには物足りない。ストレイト・クーガー的に言えば速さが足りない。一番悪者そうだった、バタフライ・ナイフ両手持ちの彼がすごく地味に倒される。ジェリーの復讐心が爆発してもよかった気がするけれど、難しそう。ベニー・ユキーデならよかったのに。
終幕まで見れば、マフィアがなんだかんだ愛らしく見えたり、ジェリーとナンシーが大会中に「ニャンニャンしよう」としたり、ジェリーの叔父が雑にハニートラップに引っかかったり、良くも悪くも憎めないキャラクターたちの面白ストーリー。
なんでもありのチキチキ・ローラー・スケート・レースや、ジェリーの特訓シーンは面白かった。特訓可変式木人樁やら極狭ランニング・マシンとか愉快だった。
ジャッキー・チェンが見れればいい人向けに仕上がってるのに、ジャッキー・チェンの100%が見られないという感じ。