上海十月

米の上海十月のレビュー・感想・評価

(1957年製作の映画)
2.8
東映映画会社のタイトル画像からして何か芸術祭とか賞狙いの感じがひしひしと伝わる作品である。霞ヶ浦の帆船がたくさん出てきて帆を立てる様は、スペクタクル映像のように見えるところは、一見の価値があるかもしれない。ただ内田吐夢がやった「土」の現代版(あくまで当時ですよ)を作りたいと言う要望から、かなり貧乏な映画になっており体制への批判の映画でもある。そこは今井正の左翼思想がよく出ていてやむを得ないかもしれない。木村功の茨城弁が効いていると、だんだんお笑いコンビカミナリのたくみくんのように聞こえてくるのが、どうにもおかしい。女性は、みんな赤プル。そして後半だんだん主役が望月優子になってきて木下恵介の「日本の悲劇」ではないかと思うような展開になってくる。この映画は、当時はかなり評価が高かった作品であって今更ながらに見てみるとそんなにグッとくる映画でもない。むしろ同じく望月優子が主役を演じた方「日本の悲劇」の凄さがよくわかる。
上海十月

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