しゅん

定めなき女の日々のしゅんのレビュー・感想・評価

定めなき女の日々(1974年製作の映画)
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アドルノの弟子(かな?)として名を知ったクルーゲ。やはりというか、師匠譲りな大衆社会への批判意識で貫かれているんだけど、その意識が生真面目さよりも可笑しさにつながっているあたりに好印象をもった。
夫との断絶と、社会と法律の冷酷さですりつぶされていく女性の肖像を映していくのかと思いきや、中盤に大した理由も示されないまま社会活動に目覚め、素人活動家として迷惑千万の行いに従事する。二部構成のぶった切り感がなんか気持ちよい。たしか流れてる曲も変わってたはず。警察が門に留めたテープを犬に開けさせる、「あ、そこに人が」という小学生でも引っ掛からないトラップで逃げる、夫が急にクビになる、あたりで笑いを禁じ得ない。皿を割るときのカメラの速い動きと、フランスのカフェで女が一人佇むシーンの店にいる男たちのアップの連続(だったよな?)が印象に残ってる。車の暴走は魅力的。

自分が世間知らずなだけかもしれないが、堕胎の具体的様相をはじめてみた。クルーゲ、今回の特集でもう一本くらい観たかったな。
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