ガブXスカイウォーカー

幕末純情伝のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

幕末純情伝(1991年製作の映画)
3.4
《あらすじ》
時は幕末。新撰組の前に立ちはだかったのが尊王派の坂本龍馬(渡辺謙)率いる海援隊。坂本龍馬は女好きの遊び人。しかも新撰組の剣豪、沖田総司(牧瀬理穂)が実は女”であったことを知り、恋してしまった。当の総司は土方歳三(杉本哲太)に心底惚れているから大変なことに・・・・。


沖田総司が美少女と言う設定の下、坂本龍馬は沖田総司に、沖田総司は土方歳三に惚れている幕末三角関係。
ストーリーはあってなきがごとし、ドタバタが繰り返される。さらに沖田総司と坂本龍馬が記念撮影したり、酒を飲んだりもする。ツンデレの土方よりも積極的な坂本に惹かれていく沖田。二人の男に挟まれて揺れ動く沖田総司、いや牧瀬理穂はひたすら可愛い。彼女の魅力の前には史実と違う設定と展開も吹っ飛ぶ。
役者陣は渡辺謙、牧瀬里穂、杉本哲太はじめ当時の粋の良い顔ぶれを揃え、みんな元気いっぱいである。またバブル景気に製作されただけあって凝った撮影技法、豪華なセット、エキストラ多数など随所に金をかけられている。
だが、映画としては後半はかなりグダグダだ。本作が2作目の薬師寺光幸監督(当時35歳)はメイキング映像で「観る人にとっては100点か0点な映画でいい」と豪語している。まさにその通りの内容であった。それでも『ぼくらの七日間戦争2』との同時定上映で8.6億円を稼ぎ出して1991年邦画配給収入10位に輝いている(1位は『おもひでぽろぽろ』の18.7億)から大したものだ。薬師寺監督はその後、数本の凡作の監督、プロデュース、脚本などで細々と食いつないでパッとしない。思えば『幕末純情伝』こそ彼にとって華の時であった。