ベンジャミンサムナー

幕末残酷物語のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

幕末残酷物語(1964年製作の映画)
3.5
 新選組という組織のブラックさを描いた作品。

 五人の新入りに間者の嫌疑がかけられる場面での山崎丞が部屋に出入りする毎に空気が張り詰める緩急、江南が自分の正体を明かす場面でカメラがグ〜っと回り込むと襖の向こうに隊士がズラッと待機してるショット等、長回しの見せ方が秀逸。

 クライマックスの大人数がギッチギチになりながらの、格好良く見せるチャンバラではない泥臭い大立ち回りも圧巻。

 その後の江波とさとが格子越しに手を伸ばすショットも良い。

 だが、規律に厳しい組織内の内ゲバをメインに描いた内容だけど、厠に行列作って褌の取り合いしたり宴会したりと合間にコミカルな描写があるので『フルメタルジャケット』ほど真に迫る内向きの暴力の怖さはない。