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幕末残酷物語のmitakosamaのレビュー・感想・評価

幕末残酷物語(1964年製作の映画)
3.7
なかなか面白い!新撰組の映画ではあるが、全然ヒロイックじゃない。
逆に組隊士のヤカラ感が凄い!完全にチンピラ集団!

物語は池田屋騒動の後から始まる。入隊希望した朴訥な青年・江波(大川橋蔵)が新撰組の一員となり、段々と人殺しに慣れていく。

この映画の新撰組が実にタチが悪い。まぁでもコッチの方が正解に近いんだろうなと思う。殆どが10代20代で農民あがりの侍が、大義名分を手に入れちゃって規律を厳しくして歯止めが効かなくなる。

「es」のスタンフォード監獄実験みたいなもの。組織の一員となると個人の善悪の区別がつかなくなる。
僕はこの映画を見ながら真っ先に思い出したのは、日本赤軍のリンチ事件かな。決して格好良い集団じゃなかったんだよ。ヤクザと一緒。

最初はオドオドしていた江波だが、介錯人を繰り返すうちに人殺しが苦でなくなる。“慣れ”の怖さ。
山南敬助の脱退等を経て、ラストにまさかの展開。
まさかまさか江波が◎◎の◎◎だったとはねぇ〜〜〜〜。

全体的に画面の絵面もセンス良い。冒頭の池田屋事件後のシーンの格好良さったら痺れまくりだわ。返り血を浴びた隊員、極端な煽りカットでパースの付いた京の小路をシンメトリーに描いている。丸窓もシンメトリーで、書割りの雲が様式美を感じさせる。

個人的に新撰組映画のベストの1本!
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