フライ

荒鷲の要塞のフライのレビュー・感想・評価

荒鷲の要塞(1968年製作の映画)
3.8
ノーカット版追録吹き替えと言う事で、数十年振りに鑑賞。本当に追録なのかと思える位、声優人の素晴らしさとクオリティの高さに感動。
本作の面白さは、戦争アクション映画かと思いきや、推理サスペンスの様に2転3転して行くストーリー展開と緊張感に、目が離せ無い面白さが!

第二次世界大戦。
ドイツ軍掃討作戦の為、ヨーロッパ侵攻をソ連と話を纒める為に中東に向かったアメリカ軍のカーナビー将軍が、オーストリアでドイツ軍に捕まり、リチャード・バートンが演じるイギリス陸軍情報部のスミス少佐他5名と、クリント・イーストウッドが演じるアメリカ陸軍レンジャー部隊のシェイファー中尉の計7名が、救出に向かう事に。
カーナビー将軍が囚われている場所は、アルプス山脈にある岩山の中腹に建てられた荒鷲の要塞と呼ばれる難攻不落の建物である事が分かり、熟慮した結果ドイツ兵として密かに潜入し、救出作戦を行う事になる。
ドイツ軍の飛行機を使い落下傘で近くに降下。ところが仲間の一人が何者かによって首を折られ死亡。実はこの救出作戦には、別の意図が隠されていたのだが。

2時間半と言う長尺作品に、序盤こそ中々世界観に入り込めず少し苦戦しながら鑑賞していたが、中盤からはスピード感の有る展開と、ラストの予想外の結末にかなり楽しめた。
改めて観るとアクションシーンの合成感丸出しや、ツッコミ所満載のシーン、昔ならではの爆破シーンなどは怪我人出てない?と思える派手さに、色々な意味で笑ってしてしまったが、本作の見所や面白さはそこではなく、ストーリーの二転三転して行く巧妙さに魅力が。
少数精鋭で敵地に乗り込むと言う在り来りなプロットに、どれだけ面白さを追求出来るのか、当時でこそドキドキしながら楽しめたとは思えるが、改めて鑑賞しチープな展開は有りつつも、意外性のある推理サスペンス展開にかなり楽しめる作品にも思えた。
作品にピッタリなキャスティングの素晴らしさは勿論だが、イギリス軍のスミス少佐とアメリカ軍のシェイファー中尉の立ち位置と設定、緊張感のある展開、作戦の色々な意味での伏線回収、仲間の裏切りやラストへの絶妙さなど、見所の多さと厚みのあるストーリーで想像以上に楽しめる映画。

第二次世界大戦を舞台にした戦争ものとはいえスパイアクションやサスペンスなどエンターテインメントとして昇華させた作品なので、残酷さや胸糞的な要素も無く、終始ドキドキしながら楽しめる娯楽作品に思えた。とは言え長尺な上、50年以上前の作品で昔の名優を知らないと観ていて辛くなるかも…更にCG慣れしてしまうと、チープさに作品の世界観に入りづらくなる可能性も…。
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