となりの

水の中のつぼみのとなりののレビュー・感想・評価

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)
5.0
とても素晴らしかった。

恋することと、身体を使用することと、性愛という、異なりつつも重なり合う主題が、異なるタイプの身体をもつマリーとアンヌとフロリアーヌの観点から描き出されるわけだが、そのタッチがあまりに繊細で、胸が詰まる。

マリーは、これからフランソワに会おうとするフロリアーヌの手を取り、「待って」と引き止めるが、フロリアーヌは「行かないと」と言って、マリーの手を離す。
マリーの身体は、フロリアーヌとフランソワの身体の間を通り抜けるしかない。

成熟や未熟、早熟という言葉は不適当かもしれないが、思春期の身体がもつ個々の速度によって、かのじょたちのコミュニケーションもある程度規定される。
その速度のずれが生むすれ違いは痛々しい。

だが、そのずれにもかかわらず、ときにコミュニケーションは成立する。
それは性徴とみなされる身体的特徴に基づかなくてもよいし、恋愛でも性愛でもなくてよい。
その意味で、マリーとアンヌが口いっぱいに水を含み、頬を押し付けて水を噴き出すシーンがとても美しい。
また、マリーとアンヌが二人でベッドのうえで言葉を交わし、マリーがアンヌにキスをするシーンも、マリーとアンヌが二人ぽっちで夜のプールで浮かぶシーンも、とても素晴らしい。
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