文鳥

水の中のつぼみの文鳥のレビュー・感想・評価

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)
3.8
歳を重ねていく中で性とどのように折り合いをつけていくか、獲得していくかという官能的な作品。主人公の女の子・マリーはアートスイミングの大会で上級生の美しさに目を奪われる。いかにも大人なその子、アデル・エネルは男遊びが激しいと噂されていたが実は処女である。好きな男の子と寝るためにディスコで変な大人を引っ掛けようとしたり、水泳のコーチに口説かれたりするが最終的にマリーに処女を奪って欲しいとお願いをする。
恋心と性愛は思春期において必ずしも同一ではない。しかし生物的に、本能的にどうしてもその気配を感じ、争うことができない場面がある。少しぽっちゃりしている夢みがちな少女、友達のアンヌの方が先に処女を喪失していく。この作品の中では誰も本当の意味での性には目覚めない。ただ、そこにある性という猥雑な野蛮なものに遭遇した時に、微かな抵抗力の解像度の高さに胸が苦し苦なるのだった。
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