湯っ子

キスより簡単の湯っ子のレビュー・感想・評価

キスより簡単(1989年製作の映画)
3.6
原作は、10代から20代の頃好きだったマンガ。映画化しているのは知ってたが、なかなか巡り会えなかった。今回U-NEXTにきていることを知り、さっそく観た。監督が若松孝二ということも今回知った。若松監督のことは、「止められるか、俺たちを」を観て知っただけで、作品を観るのは初めて。

80年代後期、性に奔放な女子大生まあこを主人公にした恋愛模様。まあこを演じる早瀬由香子、憧れたなぁ。今観ても、色褪せない魅力だった。儚くけだるい雰囲気。ふわふわーとした髪をかきあげて、ささやくように話す。
そもそも早瀬優香子本人が「早瀬優香子」を演じているんじゃないかと思う。だから、セリフが棒読みでもそれはそれで良いのだ。「心ここにあらず」感がぴったりハマっている。ちなみに、原作でのまあこの謎の髪飾りは、さすがに実写では再現していない。

主体的にセックスを楽しむまあこは、現在で言うジェンダーフリー運動の1匹狼みたいな女の子。なのに、最後の最後でなぜか、ジョー山中の「男は闘い続ける〜♪」みたいな超マッチョな歌で締めくくられる違和感。フェミな原作を無理矢理ねじ伏せる若松監督の力技を感じて味わい深いが、そんな歌を鼻で笑って欲しかったなあ、まあこには。
湯っ子

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