キャッスルグレンギャリ

東京物語のキャッスルグレンギャリのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.5
U-Nextで鑑賞。筆者62歳にして初オズでした。
当然「東京物語」は初見。
もっと早く見ておけばよかったなあ、と思います。
かといって20代、30代で見ても良さはわからなかったでしょう。
両親は寂しいのだと感じることができただろうかと思います。
50歳でみればよかったかな。

物語はゆったりとした起伏が続き進みます。
大きなクライマックスというものはありません。
作者が「ストーリーテリング」もしません。
こういう作品なんだろうなあとは想像していましたがその通りでした。
ですが136分退屈しませんでした。
自分か本作の子供立場で見たり、親の立場にかわったり。

結論は
「親からみて子供は思う通りにならないもの。でも大きな間違いがなけれ人生は幸せ。」
なのだとおもいます。

本筋とは関係ないことを2点書きます。

1点目。
始まって数分後に気づいたのが、登場人物2人の対話シーン。
俳優は「カメラ」に向かって演技をして大変だろうなあと。

Aさんがカメラに向かって話す。
Bさんがカメラに向かって話す
ふたりが話していることを示すためにカメラが横に回って二人を映す。
これが繰り返されます。
本作には俳優座、文学座等新劇の方が大勢。
舞台俳優たちには辛かったろうと思います。
カメラに話しかけるなんて。
小津安二郎監督演出の特徴なんでしょうか。

つぎに、
笠智衆の年齢。

妻のとみが68歳なので笠智衆が演じる周吉は72~75歳なんだろうと思います。
しかしこのとき笠智衆の実年齢は48歳!(1953年公開、1952年制作とすれば、1904生まれは48歳)

娘役の杉村春子は46歳。母68歳なので娘志げの歳はこんなものでしょう。
笠さんは14歳年上の東山千栄子さんを妻、たった2歳年下の杉村春子さんを娘にして演技をしていたことになります。
まったく不自然さはありませんでした。
さすが!です。
まさに「永遠の老け役」。

さすがと言えばもうひとり杉村春子。
小津監督は小津組の4番バッターと評価していたようですが。身勝手な長女をおそらく監督が望むとおりに演じていました。
日本の「ベティ・デイビス」という感じですね。