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東京物語のyawaraのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.0
老夫婦のそれぞれ家庭を持った息子たちとのやりとりを通じて人生の縮図を描く。

人物像の豊かさを一貫しており、それぞれのキャラクターの解像度がたいへんに高い。シーンごとにスタンスがはっきりしていてリアルに交流を描いています。
中でも周吉夫婦の柔らかな物腰がたまらなく良く、鑑賞者としては暖かく見守りたくなります。「ありがと」の訛りがいいですね。それゆえでしょうか、不義理な長女が危篤に立ち会う時のドライさや泣き真似に少々憤りがある。その感情もまたリアルさの追求による産物でしょう。杉村春子のいかにもな曲者っぷりも素晴らしい。一方で血の繋がっていない嫁が一番親身に接しているのはシニカルで趣がある。

都会の生活が人から奪っていく精神的余裕は今でも通底する物のように思いました。
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