【家族との些細な時間】2022年126本目
1953年公開。
老夫婦が、上京した東京の息子娘を訪問する物語。
何気ない家族の物語なんですが、笠智衆さんと東山千栄子さん演じるご夫婦がとても良いんです。
子供たちや孫娘に出会って、その成長を嬉しく思い、そして幸せを願う。
このご夫婦の落ち着きと、笠智衆さんの妻を思う細やかな思いやりが素敵なのです。
他人のしあわせを願う東山千栄子さんの姿も、日本の優しいお母さんようで和みます。
何事もなくすぎる日々が心配になるという会話がありましたが、
何事もなく目立った人生でなくとも、"私たちって幸せな方よね"って言い合えるご夫婦になりたいものですね。
1950年代の人々の生活にも興味が湧きます。
もちろんエアコンなどはないですから、みなさんうちわを持って仰いでいます。
テレビもありませんから、お座敷に座って日常会話をしています。
この会話を見つめる小津安二郎の構図は見事。
ローアングルで、手前に物を置き、遠近感と素晴らしい黄金比率で我々の目を楽しませてくれる。それはまさにインスタ映え。
役者がカメラに対して背を向けていることもありますし、まるでカメラに語りかけるように顔を正面から捉えるカットもあります。
上京して両親と離れている人にはかなり刺さる映画だと思います。