あすか

東京物語のあすかのネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

「孝行したい時に親は無し」と言うが、この映画の子供たちは亡くなったあとも、表面上は悲しんでいるが孝行しなくて悪いとは思っている様子ではない。
生きているうちに本当に老父母に思いやりをかけていた末娘と義理の娘のみが、亡くなったお母さんを思い、残されたお父さんをいたわっている。
義理の娘も夫が亡くなっていなくて子供ができていて、夫が親の面倒より自分たちの家庭を優先しろと言われたらどんな対応になったんだろうか。この人ならそう言われても老父母をもてなした気がする。一人暮らしで貧しくアパート暮しでもあんな風に時間もお金も使い、優しい言葉をかけ、マッサージを十分にしてあげた。この人には本当に幸せになって欲しい。末娘にはこれからこの義理の姉と本当の姉妹のように連絡を取り合い、仲良くしていって欲しい。
長女も長男も次男も家を出て何年も経ってるとはいえ、実の親への思いやりがなさすぎる。
私にも90近い母が1時間くらいの距離にいるが、毎日の何回もかかる電話でついつい無駄な話や要領のえない話に言葉がキツくなってしまうことを日々反省している。遠方の姉は実際に面倒を見ていないからか、この映画の子供たちのように「母と話しても面白くない」「母は愚かだ」などと思いやろうとはしない。離れている間に、保護されている子供の立場から年老いた親を守ってあげる子供の立場に変わっていったことに気がついていないと思う。
この映画の末娘も一緒に暮らしていて、親が弱ってきていて労ることが日常だし、義理の娘は客観的に見られるので老親は労ることができるのかもしれない。
あすか

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