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東京物語のcinemakinoriのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.3




“治るよ 治る治る 治るさ”








超有名な不朽の名作と言われる【東京物語】を今更ながらに初鑑賞。
これを観ずして映画が好きとは言えないよなぁ、、、と
ず〜っと思いつつも、何だかんだで期を逃して来てしまっていたことを悔やむばかり。

ただ、この歳で観たからこその沁み入る価値が存分に味わえたのもまた事実。







とにかく美しい。





1953年作品(終戦直後)のモノクロ映像の中に、言いようのない日本的美意識や所作や遺産レベルの“侘しさ”と“寂しさ”が一切の無駄を省いて描かれている。
現代で言うところの北野映画にも似た省エネ型芸術的映画の金字塔。



高度成長期
変わりゆく日本、そして移り変わる景色と日本の民の生活様式。
時代の移り変わりの中で、我々日本人が学び、覚えて来た気付きや諦め。



“静なる強さ”

様々な屈強を生き抜いてきた日本人特有の勇ましさを、これほどまでに淡々と、粛々と表現してしまう小津安二郎監督の天才的な世界観へグイグイと引き込まれ、昭和的家族模様のリアリティとその在り方の移り変わりに胸を打たれる極上のヒューマンドラマ。



余計なセリフやシーンをとにかく省き、繊細で絵画的な映像カットのみで伝わる喜怒哀楽と、何気ない風景の反復による時の移り変わりや登場人物の心情表現にとにかく心を打たれる。




この先、自分が老いていく毎に何度も観返したくなるような映画。











“ひとりになると急に日がなごうなりますわい”
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