Kawaguchi

東京物語のKawaguchiのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.3
戦争を経て失われたものと、急激に復興を遂げた1950年代前半の東京の喪失を重ね合わせ、戦前の古き良き日本と戦後これから発展を遂げていく新しい日本の対比と嘆きがとても面白いです。

「家族」の本質とは?と問い直されている気がします。本作で主人公の老夫婦に優しく接するのは、戦死した息子の嫁であり、血の繋がりのない紀子のみです。この地続きに、是枝監督が描いてる様な、よりシステム化され複雑な今の日本があるのではないのでしょうか。

ただ、当時の多くの観客が感情移入してたのは、神聖化された紀子ではなく、両親を邪険に扱う長男長女の夫婦だったのではないでしょうか。

地面すれすれのカメラワーク、観客を見透かしたような視線、切り返しショットの多用など、バチバチに決まってます。サザエさんの実写化くらいに思ってみたら、ぶっ飛ばされます。
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