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夜の第三部分のadeamのレビュー・感想・評価

夜の第三部分(1972年製作の映画)
2.5
アンジェイ・ズラウスキーが父親と共同で脚本を書き上げた監督デビュー作。
ナチス占領下のポーランドを舞台に母親と妻子を殺された男が亡き妻とうり二つの女性と出会ったことから、過去の幻影と不条理な光景が入り乱れる奇妙な世界が展開されていく物語です。
訳も分からないまま一家が無惨にも殺される冒頭のシーンのインパクトは強烈で、次のシーンでその背景が明かされるのかと思いきや、不可解な描写がひたすら積み上げられていく難解な作品でした。
命に価値などないかのように人が殺される場面が何度も出てくる一方で、子どもを持つことに及び腰だった主人公がそれを失ったことで守るべき者を持つ覚悟を得るが、そこには責任と失うことへの恐怖も付随するお話のように思えましたが、解釈に悩む要素があまりに多かったです。
逃げるシーンが序盤と終盤に2度出てきますがいずれもカメラワークが素晴らしかったり、全編にわたって流れる音楽が無闇にカッコよかったりと監督のセンスを感じられる部分がたくさんあったのは良かったです。
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