塩湖

チチカット・フォーリーズの塩湖のレビュー・感想・評価

チチカット・フォーリーズ(1967年製作の映画)
3.0
患者の一人が「こんな環境にいたらいつまでも治らない」「刑務所に戻してくれ」みたいなことを自分の言葉で必死に訴えた場面の直後に、医師が「偏執症だ」「おおよそ論理的だけど前提が間違ってる」と本人のいない所で判断をくだす場面をはさむ辺り、突出して容赦ない演出であるはずなのに、作品自体が熱くも冷たくもあるふしぎな温度感を常に保ってるものだから危うくスルーしかけた。べつの患者の鼻に太いチューブをさして食事させるくだりで、見守る職員らしき男性がふいにカメラに視線を向けて固定するのが印象深い。その人は何を考えてたのだろう。皆なに考えるか分からない。思考を掘るのではなく、リアルにおこった現象だけを手元の揺らぎなしにまとめながら随所に印をつけることでワイズマンは本作を無二の映画たらしめている。
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