ユカリーヌ

地下鉄(メトロ)に乗ってのユカリーヌのネタバレレビュー・内容・結末

地下鉄(メトロ)に乗って(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【過去に観た映画】

とってもよかった。
ただ、懐古的なだけでなく、きちんとした愛をテーマに描かれていて、泣けた。

タイムスリップもので、設定がやや強引ではあるが、それが気にならないくらいに、人間ドラマの部分でひきこまれていった。

役者陣が魅力的というのもあるが、キャラ設定もしっかり描けている。
大沢たかおは「悪」やクセのある役をやらしたら光るねー。
男の色気を感じさせる役者。
対称的に堤真一は正統派。
だけど、味わい深い役者で、それがすごくよかった。

女優陣は、トキワちゃんはやっぱり華があるねー。
ああいう前向きで強い女の役も似合ってる。

家族愛、とりわけ父と息子の愛におもきをおいて
あるかと思ったが、実は究極のラブストーリーだった。
「バタフライエフェクト」的だった。


過去にタイムスリップするのだけど、同じ時点に戻らないのがおもしろい。
長い期間を行き来するのに、要所要所うまくポイントを見せ場にしているため、展開が早いのに心情を理解させやすくなっている。

構成のうまさというか、無駄なシーンがなく飽きさせない。

真次が過去に戻るたびに、父が若くなっているし。
どんどん父の男として、人間としての魅力にひきこまれていくようになっているのがいい。

しかも、現在での恋人と一緒にタイムスリップしてしまうところが興味深い。
でも、これは大事な伏線となっている。

真次とみち子の愛のカタチは、賛同できない人も多いだろう。
あえてこのカタチにしたのは仕方ない設定だと思う。
だけど、真次がみち子と過去に戻った時、危険な目にあうことで、自分がどれほどみち子を愛しているかを
知ることになる。

現在に戻って、真っ先にみち子の部屋にかけていくシーンは泣けた。

そして、そこだけ濃いラブシーン。
恥ずかしいくらいに長い愛撫……。
どれほど相手を想い大切かということを確認しあうとこ、リアリティあるなあ。


真次の恋人みち子は、いつも悲しそうな表情をし、憂いをおびている。
これは真次との愛のカタチの問題かと思っていたが、それだけではなかったのだ。
みち子は一途で強い女だが、不器用なのがせつない。

愛するがゆえにどんなカタチでも守り、そばにおこうとする男と、愛するがゆえにカタチを壊す女。
どちらも愛するがゆえの行為だ。
ユカリーヌ

ユカリーヌ