ちゃんしん

地下鉄(メトロ)に乗ってのちゃんしんのレビュー・感想・評価

地下鉄(メトロ)に乗って(2006年製作の映画)
4.8
親の気持ちと子の気持ち…。

ある程度の年齢になって初めて分かる気持ち。

大概の親は生まれてきた子を愛し、子の為なら全力で戦い続ける…。
自分より子の方が大事であり、その為なら必死になれるものだ。
子は、大抵の場合、小さな世界の中でしか生きていないから、本当の親の姿を見ることなく育つ。

子は親の心、戦う姿、苦労を知らずに育ち、親の一面でしか、その愛を計ろうとはしない。
子を持ち、子を育てて、初めて親の本当の姿や愛を知る。
そういう愛を知らない限り、この作品の良さは分からないだろう…。

夫婦は血の繋がりのない相互の愛なんだけど、その関係が無くなれば、やはり元の他人の関係に戻る。

親子は血の繋がりがある、自分の分身であり自分の一部でもある故の無償の愛。

なかなか、当たり前過ぎてこの無償の愛に気づかないけど、この無償の愛こそが深くて大きくて温かいもので偉大なものなんだよな…。
誰もが遅かれ早かれ、その大きな無償の愛に気づく時が来るけど、その無償の愛が先祖代々繋がってきたという事実がある。
まあ、難しい事実があるのが現実だけど…。

でも地下鉄のように、生まれてくる前までには、長い間、何千年も何万年も自分が出てくるまで自分には見ることが出来ない世界をずっと繋がってきたという歴史がある。
幾代にも渡り繋がり続ける親の愛がその歴史をつくり、自分を存在させてくれるまでに至った…。
自分が生まれてきたのは、その歴史と愛があったこそだ。

親に感謝、先祖に感謝。
その気持ちは、本当に大切。

大沢たかおさんの演技がいい。
ただ、最後の展開は少し疑問に思う。果たして正解だったのか?
何が正解だと考えればいいのか?とても難しい…。

観ることをオススメ出来る秀作。
ちゃんしん

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