このレビューはネタバレを含みます
あるシーンが非常に印象的だった。
主人公真次の愛人みち子は彼と異母兄弟であること、それによって二人が結ばれることはないと知る。
そして母親が自分を身籠っている時代に戻り、彼女を優しく抱きしめながら自分もろとも階段に突き落とすのだ。
スローモーションで階段から転がり落ちていく二人。
階段下まで落ちた後母親はお腹の子が死んだことを悟り嘆き悲しむ。そこにみち子の姿はなかった。
一文で表せるようなワンシーンを思わぬ方法や演出で作り込む作品が好き。
母親や自分への愛を示しながら選んだ死。死ぬという方法は数え切れないほどあるが一番これが記憶に残る死だった。