荒野の狼

少女たちの羅針盤の荒野の狼のレビュー・感想・評価

少女たちの羅針盤(2010年製作の映画)
4.0
全体に画面が暗いことと、高校生が泣き叫んだり、自殺未遂、殺人があったりと、暗く後味の悪い映画ではないかと危惧して鑑賞したが、予想は見事に裏切られた。演劇をライブでみているような雰囲気が味わえる楽しい2時間。主役は、高校の演劇部に不満だったため、自分たちで劇団“羅針盤”を作った高校生4人。それぞれ家庭などに悩みを抱えているものの演劇に対する情熱は高く、ストリートパフォーマンスから、4人が手作りで助け合ってコンテストに向かって取り組んでいく。彼らが作り上げた設定の劇が、数場面のみを紹介するのみで、劇中劇として、ほぼ完成しており、内容もコミカルであって、また生きることのメッセージも入っており素晴らしい。この部分が映画の大部分を占めるのだが、これは4年前という設定で、これに並行して現在の部分のドラマが織り込まれ、羅針盤のメンバーの一人が、他のメンバーによって殺されたのではないかという謎が、ラストに向かって解き明かされていく。現在の部分も、謎の犯人?と目される人物が女優という設定で、そのロケ先で物語が進行するので、ラストの演出が、演劇のような多少芝居がっかったものとなっているのも違和感はない。進行しているドラマが劇中劇かもしれないと思わせるような狙いもあったのではと思わせるような出来で、全体に芝居がかった熱い演技は、見ていて気持ちがいい。暗い話題も多少あるが、後味は爽やかで、4人の主役陣には好感が持てる。主演は成海璃子だが、忽那汐里がキネマ旬報新人女優賞を受賞。他には、黒川智花が、羅針盤のメンバーの一人の美しい姉を好演。
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