一人旅

裸足のイサドラの一人旅のレビュー・感想・評価

裸足のイサドラ(1968年製作の映画)
5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
カレル・ライス監督作。

実在のダンサー:イサドラ・ダンカンの半生を描いた伝記映画。

19世紀後半~20世紀前半にかけて活動し、モダンダンスの祖と称される実在のアメリカ人ダンサー:イサドラ・ダンカン(1877-1927)の波乱の半生を彼女自身の回想録に基づきカレル・ライス監督が映像化したイギリス映画で、主演を務めたヴァネッサ・レッドグレーヴの美貌と肉体美から繰り出される圧巻のダンスパフォーマンスに魅了される力作になっています。音楽はモーリス・ジャール。

既定の型に囚われない自由な発想に基づくダンスを追求するイサドラの芸術家としての信念と情熱を捉えていきながらも、物語の中心となるのは愛をも追求したイサドラの生き様になります。職業も年齢も国籍も異なる数多くの男性と情熱的な恋を体験、時に傷ついてもただひたすらに新たな愛を求め続けた彼女の自由な恋愛遍歴や、その時々の恋人との間に授かった子供達への愛情と悲劇が語られていきます。

ダンスに自由を求めたのと同じように、イサドラは「子供は作っても結婚はしない」という進歩的考えの持ち主。芸術家として高みを追求する以前に、彼女は何より自由を希求していたことが解るのです。一方で、彼女のそうした生き方が自分自身を追い詰めていくことにもなります。ロシアの詩人と熱烈な恋を得たイサドラはロシア国籍を取得しますが、アメリカの大衆は彼女を祖国を裏切った共産主義者と見なし攻撃するのです。

イサドラの全ての行動の原動力は自由であり、自由に基づくダンスと愛情の追求に人生を生き抜いた人物です。しかし、自由であることは同時に他者との間に永遠の距離を置くこととなり、自分自身も居場所の定まらない孤独を味わい続けることになります。

芸術家としての人生と、男性を愛する一女性としての人生。芸術と愛情の追求に人生の全てを捧げたイサドラ・ダンカンの情熱的な生き様と突然の幕切れまでを克明に綴った力作。
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