LEONkei

セールスマンの死のLEONkeiのレビュー・感想・評価

セールスマンの死(1951年製作の映画)
3.9
セールスマンは何故、死ななくてならなかったのか…

地道に家庭を支える老年のセールスマンの父と、30歳を過ぎても定職にも着かずフラフラと生きる息子との関係を描いた作品。

しがない真面目なサラリーマンの父は息子に夢を託していたが、なかなか現実は思う通りにいかない。
父が息子へ思う気持ち、息子が父に思う気持ち…どちらも気持ちはよく分かるが、ふたりの気持ちはすれ違う。

『はぁ、自分の父親もレベルは違うがこんな思いを抱いていたのだろうか…』

父の強すぎる息子に対する思いは、過去と現在が入り混じり他人から見ると理解できない不可解な行動をもとってしまう。
幻想と現実の落差が大きく開らいてしまうと、時には危険で狂った考えさえ湧いてしまう。

何故これほどまでに父と息子はこうなってしまったのか…それは過去にある出来事が…

担当地区内で夢を見るのがセールスマン…コツコツ地道に働いてきたはずの父親は息子に対し幻想と現実の境界線が分からなくなる。

最小限のシュチュエーションを効果的に使い過去と現在を行き来きしながらの展開は面白く、1951年製作なので映像技術が今より劣っていたとしても今でもストーリーは十分通用する内容。

父親の傲慢さや身勝手な押し付けがココロの狭いイヤな人間の面である一方、親が子に対する愛情は切なくも悲しく可哀想な感情も滲み出てしまう。
それを支える妻の姿勢が映画全体の深みを増す重要な要因でもある(u_u)
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