くまちゃん

ロッキー3のくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ロッキー3(1982年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

成金スターの栄枯盛衰。
「レイジングブル」にてスコセッシが130分で描いたことを100分以内に収めるという挑戦的な試み。

もともとセンスのないロッキーが財力を手にすると、豪邸や家具、ファッション等にそれが顕著に表れる。

ハルク・ホーガン、ミスター・Tといった豪華共演、恩師ミッキーの死、アポロとの友情など、今作にて完結予定であった事で異様に力んだ印象がある。

前作までの不器用なロッキーが、ブロンズ像を建てられるほどの英雄視されていることに違和感あり。
前作ではCM撮影一つこなせなかったロッキーが様々なメディア露出を果たし、チャリティーに取り組み、アイドルのような存在になっている。
物の数年で一体彼に何があったのか?
幸か不幸か、それが彼の初心を封じ込め、人間としてもボクサーとしても中身のないハリボテへ堕落させる。
家族を愛し、サービス精神旺盛なロッキーの長所が全てメディア用のエンターテイメントと化した。
場末の三流ボクサーがチャンピオンを下すというアメリカンドリームの成れの果てが今作である。

ハングリー精神を失ったロッキーの敗北、そして挫折。
それを奮い立たせるのはやはりエイドリアンであり、補佐するのは盟友アポロ。
ロッキーシリーズは基本的にロッキーサイドの人間関係にフォーカスしている。
二度拳を交え、トレーナーとしてこちら側に来たからこそアポロを掘り下げることができるのだ。

クラバー・ラングは闘争心を露わに、チャンピオンに妄執的と言えるほど拘りをもつ。自分と戦えとロッキーを煽る。
だがなぜそこまでチャンピオンに拘るのかは明かされない。
ロッキーとクラバーのトレーニングシークエンスに見られるように、ハングリーを失ったロッキーと対比させるための存在としてクラバーがいるだけで、キャラクターとしての深みがない。

「クリード」への橋渡しは消滅するが当初の予定通り今作で完結させてもよかったのでは?と考えさせられてしまう。
くまちゃん

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