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狂った一頁のandesのレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
3.6
字幕も活弁もなく、「純映像的」に鑑賞したので、ちょくちょく混乱したがWikipediaによると詳細なストーリーはあるようだ。現実と妄想が入り乱れて、心の機微が映像としても現れるので、飽きずに観れる。サイレントのアート映画として世界的にみても金字塔とのことで、それも納得の「迫力」はある。
まぁ、活弁なしで普通に見ていたら、訳のわからない部分もあるので、忍耐は要する。ただ、画面に映る表情の生々しさや、時代を40年ほど先取りしたような(元ネタが本作なので順序は逆だけど)描写は驚いた。踊り狂う女とか能面とかATGを思い出したり。
主人公から終始、物悲しさが漂っており、喪失を埋めようとしている感は伝わるので、多少意味不明でもドラマは構築されているように思う。アートフィルムでも、なんか生真面目なのはお国柄か。
クロスフェードやら影と光の使い方など、影響元はわかるが上手く消化しているように思う。一般的な「面白い」映画ではないが、映像で何が表現できるかを追求する「熱さ」は十分に感じる。なかなか「面白い」映画である。
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