半兵衛

狂った一頁の半兵衛のレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
3.5
『ガリガリ博士』のようなドイツの表現主義を目指したつもりが、元女形(日本映画では1920年代に女優が登場するまでは歌舞伎と同様男性が女性役を演じていた)だった衣笠貞之助の仕草にこだわる情緒的な演出が加わったことでそれがかえって不気味な映像となりホラーのような作品に。

説明が一切ないストーリーもさることながら、後半の空想なのか現実なのか把握が出来ない展開の羅列に困惑。そして能面の使い方が滅茶苦茶怖い、まるで常人だった主人公が彼が勤める精神病院の患者と同化してしまったかのよう。

名優井上正夫の最小限の表現と仕草で感情を表現する芝居に唸らされる、あと奥さん役の中川芳江をはじめ精神病院の患者の演技がリアル。それと元ダンサーだった患者役の南栄子の美貌(当時17歳)のインパクト。
半兵衛

半兵衛