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聖戦3年/聖戦4年のmhのレビュー・感想・評価

聖戦3年/聖戦4年(1939年製作の映画)
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日中戦争の途中経過報告の意味合いを兼ねたニュース映画。

「聖戦3年」のほうは武漢作戦の完了まで。
太平洋戦争にはいると廃れていく千人針や国防婦人会の催物の様子など珍しいシーンも含まれる。
白い割烹着の集団を古き良き日本の風景と思うなかれ、ファシズムのいち側面でもあってじわじわ怖い。
地図上にちょっとしたアニメ効果があったのも見逃せない。途切れ途切れの吹き出しが大きくなったり小さくなったりすることで、交戦状態を表している。いまでも通用するマンガチックな記号的表現を80年近く前に使ってるのは素直に感動する。
「聖戦4年」のほうは、後年になってBGMを重ねた不思議な状態。
餅つきや散髪、髭剃りで正月の準備かと思ったら、紀元二千六百年記念行事のほうっぽかった。
満鉄のくだりなどあった。
序盤には観客にうながす「脱帽」の指示あり。
おまけ映像は「蒋介石軍の行進」
不思議BGMはこっちにも続いているけど、どういう由来でつけたのかねこれ。VHS化されたときと考えるのが妥当かな。

文化庁の日本映画データベースによると、公開時に音響を担当していたのは「K.S.トーキー」とのこと。
ググると当時の苦労譚もヒットして、たいへん充実したあと勉強になった。爆発音や発砲音はドイツ映画からサンプリング(といえば聞こえはいいが、ようするに丸パクリ)したとのことだった。
それだけに後から被せた、専門学校の卒業制作みたいなBGMがもったいなかった。
面白かった。
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