みーちゃん

ボーン・アイデンティティーのみーちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
改めて観たら、ディテールは全く憶えていなかった。だから、この作品の良さを分かっていなかったのだという事が分かった。

序盤、漁船の中で、応急手術で助けられたのに、訳が分からず逆ギレしたところでジャンプカットして、次は、すっかり溶け込み一緒に漁をしていたのが笑った。更に、普通なら「お前は、なんで自分が誰か思い出せないんだ!」って言われかねない状況下でも、「オレは、なんで自分が誰か思い出せないんだ!」となり、一癖も二癖もありそうな乗組員達に逆に慰められ、可愛がられちゃうのが、ジェイソン・ボーンの天性の人柄と習得したスキルを表していて面白い。

あと、何気に印象的だったのは、領事館から逃げるため、上階に向けて脱出しようとしている際に、赤いバックパックが意図せず地上に落ちてしまうシーン。あれは、目先の自分の身を守るために上に登るか、バックパックを取りに下に降りるか、究極の選択を迫られる場面だけど、瞬時にプライオリティを判断し、行動を決断する見事な演出だと思う。
 相談する相手も情報もない、考えている時間もない。思考も行動も、自分の条件反射を信じるしかないし、信じればいいんだ。という場面の連続と、その意味にぐっときた。

あの資金で、あの場所で、あのオーナーになるという、マリーの選択も等身大で共感することができ、素敵だった。