よーだ育休中

ボーン・アイデンティティーのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.0
背中に銃撃を受けて昏睡した男が地中海洋上で発見される。引き揚げられた漁船で目を覚ました彼は一切の記憶を無くしていたが、臀部にスイスの銀行口座が記録されたマイクロチップが埋め込まれていた。


◆大人気スパイアクション・シリーズ!

記憶を無くした元CIAの凄腕暗殺者、Jason Bourneを主人公とした人気スパイアクション・シリーズの記念すべき第一作であり、主演のMatt Damonの代表作。

CIAの極秘プロジェクトである《トレッドストーン計画》のメンバーであり、要であった諜報員Jason Bourne。一切の記憶を無くした彼が、組織の追手を振り切りながら自身の過去を探すという、他のスパイ・アクション作品とは一線を画するシリーズ。

何が違うかって、敵さんはかつて自分が所属していた合衆国情報管理の本丸CIA。権力とテクノロジーと人員を駆使してあの手この手でBourneを追い詰めていく。対するBourneは《キャッシュ》と《偽造パスポート》と《拳銃》のみで立ち向かう。華やかなスパイ・ガジェットや、頼れるオペレーターは無く、多勢に無勢。孤立無縁。頼れるものは自分のみ。その自分さえも記憶を無くし、《常人離れした洞察力》と《瞬時に身体が動く体術》に困惑する何とも不安定な有様。一作目はこの《戸惑いながらも無双していく》展開が一つ見物でもありました。


◆バリバリ骨太ハードボイルド!

今作で監督を務めたのはDoug Liman。次回作以降は制作総指揮という形で作品に関わっていましたが、一作目である今作は特にDoug Liman節が強かったように思います。

起承転結や見せ場となるシーンに特筆するような派手さは無いものの、骨太でハードボイルドな作風がめちゃくちゃ効いていたかと。アンノウンでシリアスな部分がテーマになっている今作とは非常に相性が良い。相性が良すぎるがため淡々とした舌戦のシーンでは睡魔が忍び寄ってきてしまうのですが。

主人公のBourneが記憶を無くしてしまっているため、観ているこっちも手探り状態で物語が進んでいく。敵対しているCIAも一枚岩ではなく、様々な思惑が交錯したりしていて、正直物語は紐解きにくい。

次作以降では覚醒したBourneの頭のキレと鉄拳と銃弾が冴え渡る展開なので、一作目と二作目以降とで好き嫌いが別れるかも。キャッシュでサクッと一般人を買収したり、敵の後手に回るちょっと泥臭いBourneが観られるのは後から振り返ると貴重だったかも。