ミーハー女子大生

ボーン・アイデンティティーのミーハー女子大生のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

マルセイユ沖の海上に漂う一人の男を漁船が救い上げるが、男は記憶喪失に。
唯一の手がかりのチューリヒ相互銀行の貸し金庫を開け、パスポートに「ジェイソン・ボーン」との署名やパリ在住との記載を見つけ一安心するが、他5種類のパスポートに多額の札束、1丁の銃が入っており、自分は何者かと焦る。

一方CIA 幹部コンクリンの元にジェイソン・ボーンが生きていたとの報告が入り、直ちに抹殺指令を下す。
追っ手に攻め入られたジェイソンは居合わせたマリーにパリまで乗せるよう頼み、追っ手を撒くうちに二人は惹かれあう。

CIA 工作員として政治家・ウォンボシ暗殺に携わったと気づいたジェイソンはマルセイユに向かった。
途中二人はマリーの元恋人イーモンを訪れるが、ここにもCIA の殺し屋“教授"の魔の手が忍び寄り、ジェイソンはマリーをイーモンらとともに避難させる。

コンクリンから過去を聞き記憶を取り戻したジェイソンは、一切自分とは関わるな、と逃れ、CIA から見放されたコンクリンは刺客により殺される。
数ヶ月後、開店準備をするマリーの元を、ジェイソンが訪れるのだった。

あらすじはこんな感じです。

現代人は、いくつもの顔を持っている。
朝、起きれば、家庭での顔。
会社に行けば、一上司としての顔。
役員会に出れば、一部下としての顔。
昼、同期と一緒にランチに行けば、友人の顔。
夜、恋人とデートに行けば、恋人としての顔。
そして帰宅すれば、また家庭での顔に戻るのだ。

主人公の、ジェイソン・ボーンにもいくつもの顔を持っていた。
はじめは、ただの男だったに違いない。
しかし、CIAの極秘プロジェクト。
これにより男は、もう1つの顔を持つことになった。
CIAの極秘プロジェクトによって生み出された暗殺者としてのいくつもの顔。
暗殺者、ジェイソン・ボーンとして、これまで、何人もの人が死んでいくのを見てきただろう。
そして、これまで、何人もの人を殺してきたのだろう。
何処かの国の親子を殺したこともあったかもしれない。
友人が死んだこともあったかもしれない。

今まで、たくさんの人が死んでいくのを見てきた。
たくさんの人を殺してきた。
それなのに、自分にはそんな記憶がなかった。
自分が誰なのか分からなかった。
残された遺品から、自分がCIAのスパイだと知った。
CIAのスパイとして彼が演じていた、さまざまな顔。
戸惑う自分。
いったいどれが本当の自分なのか?
いや、どれを本当の自分にすればよいのか?

誰か、教えてくれないか?
もちろん、誰も教えてはくれない。
みんな、彼を“CIAのスパイ、ジェイソン・ボーン”として使っているだけ。
みんな、頭にあるのは自分の利益、国家の利益だけなのだから。

CIAのスパイ、ジェイソン・ボーンしとしての彼が生きていた世界は、終わることのないゲームのように、新しい顔をちらつかせては、彼に任務を与え、死をちらつかせては、彼をこの迷路に閉じこめる。
この迷路からは、誰も抜けられない。
何の利益にもならない出口なんて、誰も進んで教えてはくれないのだから。

彼は、記憶を失った。
たくさんの自分の存在に、顔に戸惑った。
何もかもを信じなくなっていった。
だが、出口は見つかる。
思いがけないところに。

本当の自分がどれなのか。
その答えを出せるのは、自分だけ。
彼がこれから歩む、答えを探す道。
その歩む道程は、血に染まっているかもしれない。
また、自らの手で、人を殺してしまうかもしれない。
愛する人を失ってしまうかもしれない。

けれども、恐れているわけにはいかない。
たとえ、自分を見失っていく悲しみを背負ったとしても。
そこから生きていく希望を見いだせなくても。

彼が選んだ、この道の先には、必ず答えがあるのだから。
自分で見つけた、自分だけの答えが。

ストーリー 5
演出 5
音楽 4
印象 4
独創性 3
関心度 5
総合 4.3