チッコーネ

娼婦マヤのチッコーネのレビュー・感想・評価

娼婦マヤ(1949年製作の映画)
3.5
夢や春を売る当事者がしばしば無自覚になりがちな『イメージ』のひとり歩きについて、しかと言語化することにこだわった脚本がユニーク。そのためにわざわざ、無性的なキャラクターが用意されている。
もとは舞台向けの戯曲のようだ。

映像化にあたっては、冒頭の船上場面が取り散らかり過ぎていて、果たして誰がのちの狂言回しになるのか、自然に繋がっていない印象。しかし過去と現在に縛られるのは女性(娼婦)だけでなく、同一線上に男性(水夫)も配置しているのが、良い。
サバサバとしたヒロインのキャラクターは、とても現代的で魅力がある。

カスバを想起させる『迷宮の街』セットが印象的で、ロケ場面と対比をなす。舞台設定はトゥーロンというフランスの港町のようだ。