一

河の一のレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
3.8
台湾の巨匠 ツァイ・ミンリャン監督作品

現代台湾を舞台に、息子の奇病によって明るみになっていくある家族の断絶を描く

淡々と乾いたタッチで描かれる、極度に削ぎ落とされたセリフと多用される長回しはやはり癖になる

完全に冷え切っている夫婦関係が、息子の奇病によりギリギリつなぎ止められているというのはなんとも皮肉なものですが、肝心のお話は笑えないしなんならホラー風味すらあるのに、どこかシュールで笑っちゃうような感覚に陥る不思議な世界観
さらには、奇妙な緊張感が終始漂う上に、底抜けの空虚が待ち構えている

美しくも無機質な映像で描かれる変な映画であることは間違いないのですが、このツァイ・ミンリャン監督にしか描けない孤独感が絶妙なバランスで、なんとも言えない独特な余韻を残してくれるのが本当に素晴らしい

〈 Rotten Tomatoes 🍅73% 🍿77% 〉
〈 IMDb 7.2 / Metascore 55 / Letterboxd 3.8 〉

2021 自宅鑑賞 No.338 ザ・シネマ
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