440

河の440のレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
5.0
ダムが決壊した時
水は溢れ
誰も止めることができない

謎の首痛い病に悩まされる息子と家族のお話。

久々にツァイ・ミンリャン作品を鑑賞したくなって、どれを観ようか悩んだんだけど、やっぱり1番好きなこの作品をチョイス。

観ている間ずっと足の上を虫が這っているようなゾワゾワ感。
そして終始感じる居心地の悪さが癖になる。

主人公が突然水死体役のエキストラに抜擢される所から始まるんだけど、そこからもう心を奪われた。
初見の時はどんな感性を持った監督なんだろうと興味が湧きまくった。

その後も興味津々な展開だらけ。
雨漏りした部屋でオタオタする父。
ミニスカート穿いて不倫する母。
首が真っ直ぐにならない息子。
この3人の家族関係がまた絶妙な距離感で話が進み、何とか息子を助けたい父は整体師や鍼灸、神頼みなどあらゆる手段を試みる。
そして、後半の家族として1番気まずい衝撃展開へと繋がっていく。

それぞれが抱える悩み、本心、裏の顔。
追い込まれた際の不可解な行動。
心情と行動が伴っていないように思える展開なのに不思議と「こういう事もあるのかな?」という謎の説得力も感じる。

監督の力技なのか?
それとも神技なのか?

そんな部分も深みを感じてしまう作品でした。
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