丽遥

快楽の丽遥のレビュー・感想・評価

快楽(1952年製作の映画)
3.8
なんて贅沢な映像なんだろう 短編映画なのに一つ一つの衣装や美術が一級ものすぎて😭しかもその絵画のような世界が長回しのカメラによって息づいている!

1話目の仮面を被った男。設定がトンデモ過ぎるのだけど、彼が爆走して舞踏場に駆け込んでくるのを追いかけるカメラがいつの間にか彼に接近していて、彼と一緒に踊っているかのような気分になる。倒れた後に運ばれた彼の家の慎ましさがすごく対照的。静かに見守る妻の愛に気づくべき😡螺旋階段を登った先に華やかさとは別の彼の領域がある、というのがいい。螺旋階段はパラレルワールドへの接続口。快楽と愛

2話目のメゾンテリエは快楽と純情。娼婦たちが娼館で働くさまをティルトで外側から映す撮影方法は、まさしく窃視であり、視覚的快楽をもたらす。そんな彼女たちの突然の休業に驚かされるが(その反応は娼館の客たちの様子によって戯画化されている)、彼女達が旅先で体験する聖体拝受式の美しさは本当にこの世のものとは思えないほど。教会の前方に並ぶ白衣の教徒たちは天使のようだった。

3話目のモデルは快楽と死。快楽は死んだけど、愛は始まったんじゃないかなと思う。ラストの突然カメラが彼女の視点ショットに変わるところもヤバいが(カメラマンの影が映ってなくてすごい)、冒頭の男が彼女を認め、カメラと男が彼女を追いかけるが、1度柱によって2人が画面からの消えた後、再び現れた時にはもう親密になっている、というカメラワークがロマンスすぎた。静かな海と彼女の激情という対比も素晴らしい。ラストで狂言回しと2人が同じ画面内ですれ違うのもいい。
丽遥

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