丽遥

非常線の女の丽遥のレビュー・感想・評価

非常線の女(1933年製作の映画)
3.6
冒頭のショット群かっこよすぎる歩く2人を上空からロングで捉えた次に、タイピストたちの画面を埋めるような数と音に、一気に緊張感が高まる。レコード会社の犬のデザイン的な配置や、田中絹代が銃を出すリズム感、はだけたドレスや足に絡まる毛糸で心情を伝えていたのもGood。ラストの警官たちのにこやかな様子はやっぱり小津

田中絹代のギャングの情婦役ははっきりいって全然似合ってないのだけど(むしろ純情な姉役のほうが似合ってる)、それも戦略のうちのような気がする。というのも彼女は結局譲二に改心を促す役で、心は清いはずだからだ。彼女の説得はあからさますぎて、検閲の影が色濃く伝わってくる、、特に田中絹代はこれまで純情可憐な少女役で通ってきたこともあって、可愛い女性にそんなことを言わせてカモフラージュしてるのでは?と思わなくもない
譲二は田中絹代によって獄中生活を歩むようになるけれど、その大元のきっかけは姉の純真さにあるので姉こそがファム・ファタール、というかディーヴァ的な存在なのかも
丽遥

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