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非常線の女のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

非常線の女(1933年製作の映画)
3.3
小津安二郎監督がアメリカ映画に影響を受けて撮った和製ギャング映画。
原案はゼームス槇(小津安二郎)。
脚色は池田忠雄。
撮影は茂原英朗。
撮影補助は厚田雄春、入江政男、入沢良平、広木正幹、木下正吉。
今回の鑑賞は「新音声版」で、声の出演は竹下景子と中井貴一。
モノクロ、スタンダード(1933、100分)

主人公の時子(田中絹代)は、会社に勤めタイピストの仕事をしているが、実はボクサー崩れの与太者、襄二(岡譲二)の情婦で、仲間うちでは姉御的な存在。
多くの子分を引き連れ街のチンピラを取り仕切る襄二(岡譲二)は、ボクシング・ジムのみんなの憧れ。新人で学生の宏(三井秀夫)もその一人で、頼み込んで仲間にしてもらう。
心配した宏の姉、和子(水久保澄子)が襄二に談判を申し込み、弟を仲間からはずしてくれるように頼む。
宏を返してやった襄二は純情可憐な和子に惹かれる。
時子は和子に嫉妬し、ピストルを片手に脅しにいくのだが、家庭的な和子が好きになり、譲二に足を洗って2人で新たな生活をしようと提案する。
ところが、宏が姉の会社のレジから金を盗んで使い込み困っていると知った譲二は、時子と2人で最後の仕事をすることに…。

~その他の登場人物~
・みさ子(逢初夢子):襄二と時子の知り合い。
・仙公(高山義郎):襄二の子分
・社長の息子=専務(南條康雄):時子に言い寄り、ルビーの指輪やネックレスを送る。
・警官の一人(笠智衆)

「あたいたち  一層のこと  捕まっちまはうよ」

見どころは終盤の逃走シーン。ファーストシーンとともにカメラに注目。
コロンビア・レコード会社の宣伝部長から映画会入りした岡譲二は西洋風の容姿。映画ではちょっとバタ臭い容貌で、与太者っぽくない。
田中絹代もずべ公っぽくなく、主演2人の魅力が乏しいのが残念。
水久保澄子は純和風。真面目で弟思いな役で、おとなしく純情かれん。
なお、「新音声版」は今を意識し過ぎて余計な音響が入っているような気がする。音声が多い方が見やすいと思う人が多いのかも知れない…。
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