長編映画デビューとなるゴンサロ・カルサーダ監督によって製作された2008年のアルゼンチン映画
・
中南米の映画は面白い。いったい何が面白いんだろうと考えてみた。作品のジャンルにもよるけど、どこの国の映画にもその国の風土や文化が反映し、独特のリズムが生まれる。西洋文化を模倣してきた日本人には、アメリカやヨーロッパの映画は受け入れやすい。そして、あまり馴染みがない中南米の映画は個性的に感じるのだろう。
・
アメリカや日本のお金をかけた映画に見慣れているせいか、中南米の映画の照明の暗さに驚く。娯楽に大金を注ぎ込むほど国に余裕がないということだが、いまの日本の現状を考えると、日本もそのうち映画どころではなくなるかもしれない。ただ、お金なんかかけなくても、こういった面白い作品を作れるんだから、映画が無くなることはないだろう。
・
オフビートのブラックコメディで、とにかく不幸のどん底まで来てしまったおばちゃんが主人公。切なくて同情したくなるのに、ルイーサがちょっと世間ずれしているから笑っちゃう。最終的にも問題が解決したわけじゃないけど、ルイーサの表情は別人のように変わっている。このルイーサの精神的な変化を観ていると、生きる希望を感じることができるだろう。
・
ルイーサを演じたレオノール・マンソは、アルゼンチンでは有名な舞台俳優。どこの国でも、舞台出身の俳優は演技が上手い。日本にまで名声は伝わってこないけど、こうやって映画で観ることができるんだから、ありがたいことだ。洋画好きと言いながら、アメリカやヨーロッパの映画ばかり観ていないで、中南米の映画も観てもらいたい。