イチロヲ

ビバ!マリアのイチロヲのレビュー・感想・評価

ビバ!マリア(1965年製作の映画)
4.0
テロリズムに傾倒している娘(ブリジット・バルドー)と、旅一座の花形スター(ジャンヌ・モロー)が、権力者の圧政に苦しめられている貧困地区を訪問する。旅芸人の視点から反権力闘争を描いている、スラップスティック・コメディ。

中米の架空の土地を舞台にして、政府軍と反乱軍の衝突をスケッチしている作品。革命行為に関わる人間たちを、洛中洛外のような俯瞰視点で捉えており、常に大勢のエキストラが映像内を駆け巡るため、壮大な絵作りに感動が込み上げてくる。

男装時のブリジット・バルドーが「キャスケット帽を被っている女子フェチ」にはたまらない雰囲気を湛えており、ドレス姿になってからも活動的にドタバタと動き回るのが、あまりにも素晴らしい。

クライマックスでは、優雅な音楽をバックにして、デタラメな戦法のハードコア・デスマッチが繰り広げられる。バカな手法で権力を貶めると、それを本気で封じ込めにくる権力がさらにバカに見えるという、「バカの連鎖」を熟知している人間が手掛けた作品。
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