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プレステージのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

プレステージ(1976年製作の映画)
4.2
生き急ぐ男の横暴な姿

急にアランドロン出演作品を見たくなって(?)しばらくレビューを続けるかもしれませんが...
今回は「プレステージ」をレビューします。このタイトルだと最近だとヒュージャックマンとクリスチャンベール共演のマジシャンの映画のほうが先に出てきますが本作はもっと古いです。

ストーリー:古美術商のピエール(アランドロン)は抜群の行動力と駆け引きのセンスから、数多くの品を競り落とす商売上手な男だった。しかし、彼にとってセリはビジネス以上の意味があり、スリルに満ちた快感があった。
ある時、病に伏した富豪から豪邸を買い取ったが、その売買を巡り富豪の娘エドヴィージュ(ミレーヌダルク)と対立する。しかしながら彼女と恋に落ち結婚する。結婚後もビジネス優先の生活は変わらず、エドヴィージュを構わず一人(そして秘書とともに)セリに向かう。そんな時、ピエールが過去に競り落とせなかった古代ギリシャの壺が出品されることになった。何としても手に入れたいピエール。彼の運命はいかに..といった感じ。

アランドロンのキャラクターはイメージとして「寡黙な殺し屋」「美しすぎる」がある気がしますが、本作ではものすごく活動的で早口でせっかちな男を演じています。ハネムーン中でもホテルに着いたとたんにチェックアウトしたり、空港の男子トイレにエドヴィージュを連れ込んだり。おまけにエドヴィージュが妊娠すれば「七か月で産め!」とトンデモな要望ばかり出すアドレナリン中毒の役柄は、ちょっと新鮮でありつつ、何かに追い詰められた影のある雰囲気がなかなか良かったです。

古美術商ですがセリそのもののシーンはラストの壺が出品されるオークションのシーンだけですが、これが結構ドキドキします。ピエールは戦略として、若い男の子を代理人に立て、秘書に様子を実況中継させます。そしてピエールはレストランで電話越しに指示するという大そうなやり方。ライバルは3人いて、脱落したかと思えばまたセリに参加する駆け引き、そしてそれを電話越しに聞いているピエールの姿にドキドキしました。(どうしても知りたいスポーツの結果を携帯のニュースでチラチラ見る感覚に近い..)
ラストは(一応)衝撃的です...本当に急いで人生を送った男の悲劇でした。
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