映画おじいさん

続三等重役の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

続三等重役(1952年製作の映画)
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名脇役・河村黎吉の当たり役にして遺作。

あんまり好きではない社長シリーズの前身ということで期待していなかったら相当面白くて驚いた。作りは雑ながらドタバタではない大人向け喜劇。なぜかいつも眠くなる鈴木英夫の中でも最もテンポが良いように思った。

小林桂樹と伊豆肇のありがちなヤングサラリーマン切磋琢磨モノと思わせる序盤から、いつの間にかそれはフェイドアウトし(←そういうところが突貫製作らしくて雑)、重役たちの恐妻物語に。

妻なんてピシャリとやればいいと仲間たちに豪語した森繁が門限遅刻で家に入れてもらえず、仲間たちからその一部始終を観察されるシークエンスが意地悪くて好き。そこからセリフ無しの音楽ネタになるのも◎。

進藤英太郎の二号役の藤間紫が最高! それとは知らない本妻・内村文子にビールを飲みながらイヤミを言っている時の笑顔は彼女のベストスマイルかも。超キュート。

内村文子が色っぽく進藤英太郎にキスを迫るナゾのサービスカット有。あと沢村貞子と千石規子の水着姿もw
藤間紫の日本舞踊という真っ当なサービスカットも有。

現社長の河村黎吉が責任を取って辞任すると前社長に言うと、前社長が「今のアプレどもは何かあるとすぐに辞めると言い出す! 任期が終わるまで頑張れ(大意)」と一喝するのは面白かった。いつの時代も変わらないだなと。

サラリーマン生活、感覚は今と変わらないようだけど、洗濯板で洗濯している画とかが出ると随分昔の映画なんだなあという当たり前なことに驚かされる。