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幻の光のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

幻の光(1995年製作の映画)
4.0
過去鑑賞。
とんと忘れていた一本を又フォロワーさんが思い出させてくれた。

本作は原作をたまたま先に読んでいた。映画はBS放送の映画劇場で観た。

昔を思い返せば、自分は片道1.5hの高校通学中、50分間は電車に揺られていた。
当時は一番遠い終点駅の街に暮らしていたから、途中駅から通う通学友達が居ない間のおよそ30分間は違う世界への旅だった。
知らない事、知らない世界を文庫が教えてくれた訳だ。
読み耽っている姿は知り合いには見られたくはなく、あまりに内容が魅力的な場合は各駅停車駅を選んでホームに降りて、端のベンチ等で読み進めたり…

そんな頃に、本作の原作者:宮本輝の短編や中編を文庫で読んだ記憶は忘れられない。
中でも"星々のかなしみ"は幾度読み返したことだろう…
この話の中で絵を盗む少年は自分だと感じていた。

20代、都会の片隅の木造ボロアパートでカビの生えた様な暮らしをしていた頃、ROCKと彼女の隙間で一人の時間の一部では、テレビなんか無かったから文庫を読んでいた。
ブコウスキーやヘミングウェイや丸山健二や吉行淳之介や沢木耕太郎や松本清張といった感じでめちゃくちゃな趣向。
乱読をしながら、その又隙間に宮本輝の前述"星々のかなしみ"を度々読み返していた。

他人には知れない、きっと自分でもワカラナイ何かを、きっと彼の綴ったこの話に感じていたのかも知れない。
この話が収められた新潮文庫の表紙、どなたかが描かれた"本を読みながら一息つき遠くを見つめる少女"だった様に思う。
意味もなく私もまた、表紙の少女を見つめていた気がする。

(映画本作とは全然関係ない話でした^_^💦)
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