岡田秀親

靖国 YASUKUNIの岡田秀親のレビュー・感想・評価

靖国 YASUKUNI(2007年製作の映画)
3.0
2008年5月25日の日曜日、大阪の第七藝術劇場で観ました。
朝1回目からの上映にもかかわらず、開始10分前頃に着いた時にはすでに立ち見で、館内の右の通路に座って観ました。

映画は靖国神社で起こっている人々の活動と軋轢の出来事を淡々と撮っている場面と、長年、靖国神社への刀を作っている老人へのインタビューで構成されています。
靖国を巡って人々が起こす出来事は、それまでニュースなどでは取り上げられなかったものもあり、新鮮でした。
けれど、その対象に向けて密接に撮影するのではなく、距離を取っていると感じました。
それは「対象」ではなく「事象」を撮っているのだと見ているうちに気づきました。

面白いドキュメンタリーは、「対象」との関係性がどのように表れているかで楽しむことが出来ます。
しかし、この映画は「事象」を撮り続けることによって、「対象」の内面には肉迫していません。
刀鍛冶の老人にインタビューをする場面もあるのですけど、その老人がどう考えて戦争に使われる刀を作ってきたのかは最後まで分かりませんでした。いちばんそれが知りたかったので残念でした。

そういう意味ではあまり目にしたことの無いドキュメンタリーの作り方でした。こういう作り方だと失敗作だと思う方はいると思います。
個人的には「対象」の内面が表れてそれに心を揺さぶられるドキュメンタリーが好きなので、そういう意味では物足らなかったですが、こういう撮り方もありだろうなと日を少し空けて思いました。