飯

ラルジャンの飯のレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
5.0
トルスイトの原作をドストエフスキー風に仕上げた。
(神の不在。

平穏な残酷。極簡主義。

固定ショット、ナイフのような鋭いカット。(早期のブレッソンはフェイドアウト使ってたけれど)

顔、身体、動作の省略、代わりに手や足、あるいは環境の中のものにフォーカスする(ドアとロック、車のナンバープレート、廊下、道具や家具など)、それでカネと社会が人をモノ化することを表してる。

ブレッソンは形式より内容の方を重視してる監督だが、核心事件の回避、動作の省略、クローズアップの挿入などの平穏な叙事方式で逆に形式の勝利を唱えてるじゃないか。

道徳の伝染性。

俳優は素人で、あえてモデル感と不自然感を出してる。演技なし表現。(演技最も上手いのは犬かもしれない)そして(観客の視線を気にしてるような)映画の演劇感。ヒトと背景の中にあるモノの違いがほとんどないような感じがする。

83年のカンヌって、これとタルコフスキーのノスタルジアが今村昌平の楢山節考に負けてしまたという、贅沢すぎる。
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